新社会人、ビジネスパーソンとして会社生活を送っていると、「わかった」の丁寧語が何なのかわからなくなることがあります。

「かしこまりました」「承知しました」「了解しました」などいろいろな言い方がありますが、社外の人に対して正しい敬語を使いたい時に、ふさわしい言葉はどれなのでしょうか。

意外に難しい敬語。注意しないと間違いになってしまう「わかった」の敬語について紹介します。

目次

間違えやすい敬語①:了解しました

間違えやすい敬語として、一番に挙げられるのが「了解しました」です。わかりましたの意味を持つ言葉で、仕事では上司や先輩に使ってしまいがちです。

しかし、「了解しました」は間違った使い方。ビジネスの時には使わないようにしましょう。

了解しましたは、「了解」の丁寧語なので 

  • 同僚
  • 後輩

なら使っていいものの、上司や先輩には使ってはダメ。あくまでもプライベートだけで使うようにしておきましょう。

正しい敬語①:承知しました

承知しましたは、謙譲語に分類されます。

謙譲語(けんじょうご)とは……
敬語のひとつで、尊敬語の反対のことば。へりくだることであちら側を高く置いて尊敬の念を表すことば。

 

「承知」の意味は、お願いごとや要求を聞いて引き受けること。承知しましたは、仕事の依頼や要求を聞いて引き受けることを言います。承知は、否定語の「ない」をつけくわえて「今度○○したら承知しない(=許さない)」といった意味でも使われます。

上司からの仕事や社外のクライアントなど取引先との会話でも承知しましたはマナー違反にはなりません。

使用例としては (上司に)今度の企画、承知しました (取引先に)発注、承知いたしました などと使えます。

流行したドラマ『家政婦のミタ』でも、主人公の家政婦、三田灯さん(役:松嶋菜々子さん)は「承知しました」とは言っていても、「了解しました」とは言っていません。その点、ビジネスマナーがきちんとしている設定になっていました。家政婦のミタでは、正しいビジネス言葉を使って演じています。

正しい敬語②:かしこまりました

わかりましたを伝えるのに、「かしこまりました」の言葉を使うこともできます。わかった、承認するという意味の言葉で、上司、取引先の人にも使うことができる謙譲語です。

この「かしこまりました」は、かしこまりましたの一言で済ませるのではなく、心配りができる人なら一言加えるとより丁寧です。 例えば、「御社へ○日に伺います」に対して「かしこまりました」の一言だけで済ませずに「かしこまりました。当日、お待ちしています」「かしこまりました。どうぞよろしくお願いします」といったように文章を加えた方が丁寧です。

かしこまりましたには、漢字を使うこともあり「畏まりました」「承りました」と書くこともあります。

「畏まりました」の意味

「畏まりました」の畏の漢字の意味は、かしこまる、敬服するといった意味があります。「畏」は訓読みでは畏(おそ)れるの意味も持ち、ネガティブな要素も含んだ言葉です。

このかしこまりましたは、漢字検定2級レベル。ビジネスマンとして知っておきたい漢字ですが、社外の取引先の人に連絡する時は、ひらがなを使用して「かしこまりました」と書くことが多いです。

「承りました」の意味

承りましたは、「かしこまりました」と読む場合と、「うけたまわりました」と読む2パターンがあります。

承る(うけたまわる)は受ける、聞くの謙譲語です。相手の意思や意向を受けることを指し、かしこまりましたとほぼ同意語として使うことができます。この場合も、かしこまりましたの意味で使う場合はわざわざ漢字にはせずにひらがな表記にすることが多いです。

尊敬語での「わかりました」は何?!

わかりましたの謙譲語は、「承知しました」や「かしこまりました」を使うのが一般的ですが、上司や先輩に「わかったかどうか」を確認したい場合、どういった言葉を使うのがいいのでしょうか。

謙譲語の他、尊敬語もあり、相手を立てたい場合に尊敬語が使えます。

尊敬語(そんけいご)とは……
目上の人に対しての言葉で、相手を立てる時に使う。

まず、「わかりました」は尊敬語ではありません。そのため、上司や先輩や「わかりましたか?」と問いかけると上から目線になってしまいます。

わかりましたとして使えるのは、「知っている」の尊敬語「ご存じ」です。

「明日の会議が○時から開始されることをご存じですか?」
「書類提出が○日までだったのをご存じだったでしょうか。」

など相手が知っているか、把握しているかどうかを確認したい時には「ご存じ」を使うことができます。

正しい敬語を使ってビジネスマナーができる大人に!

同僚との会話で、仲良く打ち解けた相手であれば、「了解!」「りょ」なんて言葉遣いをしても大丈夫な職場もあります。また、後輩に対してはビジネスマナーをあえて取っ払い、タメ口で話す方が仲良くなりやすい傾向もあります。

ただ、上司や取引先に対してビジネスマナーが徹底していないことで、相手に正しい敬語ができない大人なのではと思われる心配もあります。正しい敬語を使って、ビジネスマナーを守ることで仕事ができると思わせることができます。