QRコードがうまれたのは平成4年。バブル崩壊直後の日本でした。当時はスマホもセルフレジもなく、コンビニやドラッグストアも今ほど店舗数はなかったのです。

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鉄道では1日乗車券、映画館では入場がQR決済入場になっています。私たちの日常生活でQRコードは人件費節約、合理化に役立っていますが、元々QRコードを開発した開発者の目線は違ったそうです。

バーコードの200倍の情報量を読み込むコード

QRコードはバーコードの200倍の情報量を読み込むコードとして世に出ました。’92年に日本電装(現:デンソー)の工場ラインの現場作業員の要望から開発がはじまったのです。それは

『油でバーコードが汚れると、うまく読み取れない。いかなる状況でも読み取れて作業の支障がでないコードを作って欲しい』

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開発に携わったのはバーコードなど識別コードと、読み取り機械、技術の草分けである原さん。当時入社10年目。バーコードという横幅1次元で情報を表現するのに限界を感じていたというのです。

’90年代はじめまで、工場だけでなく製品の生産、流通、管理の主流はバーコードでした。しかしバーコードは汚れたり画面が暗いと読み取れないというデメリットがあったのです。

 

そこで縦と横の2次元に情報を組み合わせたことで、QRコードはバーコードの200倍の情報量を持つことが出来ました。

バーコードとの違いは主に以下の通りです。

  • バーコードの200倍の情報量が持てる
  • 目印をつけることで高速かつ正しく読み取る
  • 面積の3倍かけても、正確な情報が読み取れるようにする
  • 誤りを訂正できる情報を埋め込む

’92年に開発に携わった当時、開発期間を2年に絞ったという原さん。ある程度でも成功したなら見切り発車でも製品を世に送り出し、営業し、実験。失敗したとしても、改善点を常に見出すことにしたのだそうです。

スマホでピッは想定外だった

開発者の原さんが想定外だったのが、スマホのカメラ機能でQRコードが認識できるようになったことです。私たちがQRコードを利用できるようになったのは、スマホカメラを通してが多いのではないでしょうか。開発した原さん自身も『想定外だった』と言います。

QRコードの中には最大7000文字以上が入力できるようになっていて、スマホで読み取れるのは3000文字。半分もないのが現状だというのです。

開発者側として、QRコードは電波が通じないアナログな面で利用して欲しいと言います。たとえば地震や災害があった際に、地面に大きなQRコードを描き、その中に欲しい物資や足りない支援を情報量として記載すれば、ドローンを飛ばすことができるというものです。

今の所、QRコードの情報許容量を活かせる活用法があまりないのが現状ではないでしょうか。